新学期が始まる前は、やることが一気に増えます。全部を効率化するのは無理ですが、いくつかはAIに寄せられます。

今日は、私が実際に任せているものと、任せていないものを書きます。うまくいかなかった話も入れます。

なお、これは「使ったほうがいい」という話ではありません。使いたくない人がいるのも当然だと思っています。こういうやり方をしている人間もいる、くらいの話として読んでください。

任せているもの、任せていないもの

新学期前にやることを並べると、だいたいこのあたりです。

  • 教室の環境整備
  • 学級通信
  • 提出物のチェック
  • 9月当初の仕事の洗い出し
  • 生徒への連絡事項のまとめ

このうち、AIに任せているのは3つです。

任せているもの

  • 9月当初の仕事の洗い出し(抜け漏れを見つけるのが得意)
  • 生徒への連絡事項のまとめ(箇条書きの整理は速い)
  • 授業で使う雑学の下調べ(調べる時間が一番減った)

任せていないもの

  • 教室の環境整備(そもそも物理作業)
  • 提出物のチェック(個人情報そのもの)
  • 学級通信(後述します)

一番効果が大きかったのは、雑学の下調べです。授業の合間に話すネタを探すのは、以前は本を漁ったり検索したりで時間がかかっていました。今は聞けばすぐ出てきます。そのぶん、話し方を考える時間に回せます。

仕事の洗い出しも効きます。自分の頭の中にあるものを書き出して「他に抜けていそうなものはあるか」と聞くと、忘れていたものが出てきます。ゼロから作らせるのではなく、自分のリストの穴を探させる使い方です。

個人情報は入れられない。じゃあどうするか

ここが一番の壁だと思います。

学校の仕事は、その大半に生徒の情報が絡みます。名前、成績、家庭の事情。これらをAIに入力するわけにはいきません。この時点で「じゃあ使えないな」と判断する先生は多いと思います。

私がやっているのは、情報を架空のものに置き換えてから渡すという方法です。

生徒の個人情報は当然入れません。それに加えて、校内独自の行事名も使いません。行事名は学校を特定しうる情報だからです。代わりに、自分で創作した架空の行事名に置き換えてAIに渡しています。

たとえば自校に固有の名前がついた行事があるなら、「秋の文化行事」といった一般的な名前にして相談する。日程や段取りの相談であれば、行事の実名は必要ありません。戻ってきた案を、自分の側で本物の名前に戻せば済みます。

文部科学省のガイドラインも、2024年12月にVer.2.0が公表されています。一律に禁止も推奨もしておらず、リスクを理解したうえで適切に使うという立場です。禁止されていないからこそ、自分でルールを決めておく必要があると思っています。

学級通信は、うまくいきませんでした

任せてみて、はっきり失敗したものがあります。学級通信です。

出てくる文章は、整ってはいるんです。誤字もないし、構成もおかしくない。でも、自分が書いたものに見えませんでした。

学級通信は、内容そのものより「この先生が書いている」という手触りのほうが大事だったりします。そこが抜け落ちると、ただのお知らせになる。結局、自分で書き直すことになりました。

ただ、これは2年前の話です。当時と今では、AIの出力はかなり変わりました。今もう一度やったら、違う結果になるかもしれません。一度うまくいかなかったからといって、そこで判断を止めないほうがいいとは思っています。

分かったのは「書かせる」と失敗するということ

いくつか任せてみて、成功と失敗の境目が少し見えてきました。

うまくいったものは、全部「自分の中にあるものを整理させた」ケースです。仕事の洗い出しも、連絡事項のまとめも、材料は自分が持っていました。AIがやったのは、並べ替えと穴の指摘だけです。

うまくいかなかったのは、「ゼロから書かせた」ケースでした。学級通信がまさにそれです。自分の中身を渡さないまま書かせたので、自分のものにならなかった。当たり前といえば当たり前です。

だから最近は、書かせる前に自分に質問させるようにしています。「この通信で伝えたいことは何か、質問して整理させてほしい」と頼む。答えているうちに、自分が何を書きたかったのかがはっきりしてきます。

AIに書かせるのではなく、自分から引き出させる。この順番にすると、出てくるものが自分の言葉に近くなります。

前に別の記事で、同僚と教育観をぶつけ合っているうちに、もやもやが言葉になっていったと書きました。あれと近いことが起きます。相手がAIでも、言語化の相手としては機能するというのが、今のところの実感です。

最後に

新学期の準備が楽になったかというと、正直、劇的には変わっていません。物理的な作業は減りませんし、人と話すべきことは人と話すしかありません。

ただ、調べる時間と、抜けを探す時間は確実に減りました。そのぶんを、生徒の顔を思い浮かべながら考える時間に回せています。私にとっては、それで十分です。

使いたくない人は、使わなくていいと思います。ただ、もし「便利らしいけど、個人情報が心配で試せない」という理由で止まっているなら、架空の名前に置き換えるところから始めてみるのはありかもしれません。