〜職員室の片隅に執事がいたら 第1話〜
授業中、どんな問いかけにも「え」「はぁ」と否定から入る生徒。
正直、イラッとする瞬間もありますよね。
でも、もしそれが“ただの反抗”ではなく、ちょっと可愛い正体を持っていたとしたら——?
教師と執事ジョンの会話から、子どもの見方が少し変わるかもしれません。
「え」「はぁ」と返す生徒に疲れる私
教師(私):「授業中にね、どんなことを言っても“え”とか“はぁ”とか、否定から入る生徒がいるんだよ。もうね、心が削られる。」
執事ジョン:「ほぅ。“え”と“はぁ”。実に省エネな二文字の防御壁でございますな。」
教師:「いやいや、防御なんてもんじゃなくて、ただの拒絶だよ。普通に返事すればいいのに、わざわざ否定から入るんだ。」
ジョン:「失礼ながら、ご主人様。私には“弱さを隠すための強がり”に見えますが。」
教師:「……確かに。本当はメンタル弱めだから、強い言葉で自分を保ってるのかもしれないな。そういう態度で相手が怯んで、うまくいった経験があるんだろう。」
ジョン:「つまり“え”も“はぁ”も、彼らにとっては二文字の武器。剣を振り回しているようなものですな。」
教師:「武器ねぇ…。たしかに“え”って言われるだけで、こっちがちょっとひるむんだよな。怖すぎる。」
ジョン:「ですからご主人様が笑顔で返したのは、まさに必殺の対応。『うぁ、こまわい!たった二文字で返事なんて怖すぎる!』と茶化す。実に上手い切り返しでございます。」
教師:「その時は生徒も苦笑いしてたよ。強がりの裏を見透かされた気がしたんだろうな。」
ジョン:「ご主人様、どうかお忘れなく。“否定の二文字”は、ただの反抗ではなく、か弱い心が書いたラブレターかもしれませんぞ。」
教師:「……そう思うと、ちょっと優しく見れるな。」
生徒の「え」「はぁ」は、反抗というより“自己防衛の短い呪文”。
教師が笑いに変えて受け止めれば、教室は少し柔らかくなるのです。