カンペを作ってたら覚えちゃった|理科教員が授業で使う「生成効果」
大学のときのカンペ
よくないことだけど、大学のとき、テストにカンペを持ち込もうとしたことがある。どれだけ小さく、簡単にまとめるか。それを考えながら作っていたら、気づかないうちに中身を覚えてた。で、持ち込むのをやめた。笑
これ、心理学では「生成効果」っていうらしい※1。簡単に言うと、人から渡された答えを読むより、自分で考えて作ったもののほうが頭に残る、ということ。カンペを作るときは、どこを残してどこを削るか、ずっと選んでる。あの選ぶ作業が、そのまま勉強になってたんだと思う。
授業、レポート、小テスト
今の授業は、教える、レポート、小テストの順で回している。レポートは小テストの解き方をまとめるもの。解き方の解説が一つと、演習問題が2問。その2問が、そのまま小テストに出る。生物の小テストは、レポートを持ち込んでいいことにした。レポートをしっかりやれていれば解ける問題にしてある。
小テストもレポートも、やる意味ないって思ってる生徒はいる。そういう子に、少しでも意味があるって自分で思ってほしかった。自分のカンペだからこそ分かりやすい。そういう感じにしたい。
「何書いていいかわからん」
最初は、自分で考えさせるレポートをやっていた。返ってきたのは「何書いていいかわからん」。どこをどうまとめればいいのか、分からないらしい。そのうち、もうどうにでもなれって感じで、やらなくなる生徒が多かった。
まずは写すところから
なので今は、教科書を写すだけでもいいことにしている。写すだけでも、レポートを作ること自体が学習になると思って※2。
ただ写すだけにならないように、授業時間内に書かせる。時間が決まっていれば全部は写せないから、どこを写すか選ぶしかなくなる。教科書を閉じて書きなさい、もやった。でも、生徒にはこれがなかなか難しい。
新井紀子さんの『シン読解力』を読んで、思い当たった。読解力がまだ追いついてなくて、読んだものを覚えて書き移すところでつまずいてるのかもしれない。
「先生いやらしい」
テスト直しでは、解答の裏にやり直しプリントを印刷した。表で解答を見て、裏返して、見ないで書く。毎回裏返しながら進める形※3。
生徒からは「なんで解答が裏にあるの、先生いやらしい」と言われた。「ふっふっふ、理由があるんだよ。なんでだろうね」と返した。これは続けていきたい。
ここから少しずつ
レポート自体も、段階的に難しくしていく必要がある。授業時間内にここをまとめて、授業の最後にそれを見ながら小テスト、というのも考えてる。
注釈
※1 生成効果:スラメッカとグラフ(1978年)が名前をつけた現象。単語をただ読んだ人と、ヒントから自分で単語を思い出して作った人を比べると、作った人のほうが後でよく覚えていた。つまり、自分の頭で作ったものは残りやすい。
※2 例題効果とフェーディング:慣れていない段階では、自分で解くより、完成した例を見て学ぶほうが身につきやすい。そこから例の一部を少しずつ空欄にして、最後は自力で解くところへ移していく(レンクルら、2002年)。つまり、最初はお手本を写して、だんだん補助輪を外していくやり方。
※3 検索練習(テスト効果):読み直すより、思い出そうとするほうが記憶に残る(ローディガーとカーピキ、2006年)。英単語を、見て、隠して、書いて覚えるのと同じ。
参考:新井紀子『シン読解力 学力と人生を決めるもうひとつの読み方』東洋経済新報社、2025年